アフリカ、鉄道網が牽引 域内貿易拡大へ3兆2900億円投資

アフリカ、鉄道網が牽引 域内貿易拡大へ3兆2900億円投資

アフリカ大陸の各地で総延長距離1万1000キロ、投資総額  
300億ドル約3兆2900億円)に上る鉄道プロジェクトが
進められている。アフリカ経済は干魃(かんばつ)による農業へ
の打撃や資源価格下落に伴う輸出減少などの逆風を受けている。
こうした中、アフリカ各国は、成長を牽引(けんいん)する機関車
役として鉄道インフラの整備に大きな期待を寄せている。

◆最先端計画に期待

うだるような暑さの朝、国立野生動物公園の外れで、中国人と現地の労働者が巨大なコンクリートの塊を、そびえ立つ橋桁の上で巧みに動かす。少し離れた高速道路では、船積みコンテナを積んだトラックが轟音(ごうおん)を上げて走る。

インド洋に面するアフリカ大陸東岸のケニア・モンバサ港の北西の都市ボイで進められている鉄道橋の建設工事。同国と、ルワンダやウガンダなど内陸の隣国とを結ぶ3270億ケニアシリング(約3530億円)規模の野心的な標準軌鉄道(SGR)プロジェクトの最前線だ。

同国政府は鉄道建設に1963年の独立以降で最大規模の投資を実施。同プロジェクトは最先端のアフリカの鉄道として注目を集めている。内陸部とナイロビをつなぐ唯一の道路は常にトラックで渋滞しているが、中国の建設力と資金に頼って代替交通手段であるSGRを完成させ、輸送時間の短縮を図る。

SGRは東アフリカの貿易を変える潜在性がある。ブルームバーグ・インテリジェンスのアフリカ・中東エコノミスト、マーク・ボールンド氏は「インフラ面での制約は、アフリカの成長を阻害する主な要因の一つだ。この鉄道が大きな変化をもたらす」と述べた。

アフリカの鉄道建設にはハードルも少なくない。資源価格の下落が、鉱山から港まで原料を運ぶ鉄道の建設の重しになる中で、仮に計画が始動しても、全てがスケジュール通りに進むとは限らない。

さらに成長鈍化に直面する中国が、アフリカのインフラ開発で果たす中心的役割を縮小する可能性もある。ケニアやエチオピアなどは、プロジェクト資金を多額の借り入れで賄っている。

中国には、アフリカの鉄道プロジェクトで収めた実績がある。内陸国のザンビアとタンザニアのダルエスサラーム港をつなぐ総延長距離1870キロのタンザン鉄道は、1970年代に中国による資金供給と建設で完成した。

◆欧米企業にも恩恵か

だが、現在のプロジェクトで利益を上げるのは中国とアフリカの企業だけではない。米ゼネラル・エレクトリック(GE)やフランス・スイス系セメント大手ラファージュホルシムなど欧米企業も恩恵を受けるとみられている。GEはケニアやエチオピア、ナイジェリアなどで機会を調査中で、2015年から今年の年末までに、現地の従業員数を3倍にする方針だ。

西アフリカでは、フランスの複合企業ボロレが、総延長距離2700キロの鉄道網を開発する計画だ。完成すればコートジボワールとブルキナファソ、ニジェール、ベナンがつながる。

セネガルも昨年12月、中国鉄建と645キロの鉄道改修で合意。タンザニア、マリ、エジプトでも鉄道建設プロジェクトの計画が進んでいる。エチオピアは先ごろ完成した首都アディスアベバと隣国ジブチをつなぐ路線に続き、新たに4000キロのプロジェクトを計画している。

鉄道インフラは、アフリカ諸国間の貿易促進には欠かせない。アフリカ連合によると、昨年の域内貿易はアフリカ全体の貿易額のわずか13%だった。
現在は鉄道による貨物輸送が約5%にとどまっているケニアは、鉄道建設プロジェクトが経済成長を押し上げると期待する。政府は3月、ウガンダ国境までの延伸プロジェクトに関して、中国のパートナーと合意した。
ケニア鉄道公社のマネジングディレクター、アタナス・マイナ氏は、モンバサからナイロビまでの区間の営業を17年6月に開始する予定だと説明。毎日各方向に貨物列車が8本、旅客列車が最大2本走るという。(ブルームバーグ Liezel Hill)

http://www.sankeibiz.jp/macro/news/160416/mcb1604160500012-n1.htm